スタッフに聞いた「渦の道」の
ちょっぴりウラ話
世界三大潮流の一つに数えられる、鳴門の渦潮。
日本が世界に誇る自然現象を、海上45mから見下ろすことができる施設が「徳島県立 渦の道」だ。
今や国内外から大勢の観光客が訪れる人気スポットとなっており、インターネット上にも施設の特徴や魅力を伝える体験記事であふれている。
ということで、今回は現場のスタッフから聞いた「渦の道」のちょっぴりディープな情報をお伝えしたい。
鳴門公園駐車場から徒歩数分で「渦の道」に到着するが、チケット売り場に入る前に入口の反対側を見てほしい。
橋脚の奥にぽっかりと大きな穴が空いているのが確認できるはずだ。
この穴の理由をさくっと説明できる人は、きっと大鳴門橋開通の興奮をテレビで見た中高年か、鉄道マニアだろう。
実は1985年の開通当初、大鳴門橋は「四国新幹線」の開通が予定されていた。
しかし、国内情勢などの理由で残念ながら計画は立ち消えてしまう。
その後、約15年の刻を経て、鉄道が通る予定だった場所は、観光名所として整備されることに。
それが、徳島を代表する観光スポットとして定着した「渦の道」なのだ。
エントランスを抜けるとすぐに現れる遊歩道は、終点の展望室まで約450mnの距離がある。
金網越しに橋の無骨な構造部分が見えるが、四国新幹線が通るはずだった場所を歩いていると思うと、昭和ロマンを感じずにはいられない。
遊歩道の一部からは、橋の中央を走る鉄道スペースを真正面から捉えることもできる。
遊歩道の壁面のほとんどは金網で覆われているが、すべてをガラス張りにすると、側面から強風をモロに受けて危険なためだそうだ。ちなみに、風の影響を受けにくくするため、鉄骨部分も所々に丸い穴が空いているのが分かる。
壁面を金網にすることで風が遊歩道を通り抜ける仕様になっているが、言い換えれば通行者は海風の中を進むことになる。
このダイナミックさこそが「渦の道」の魅力なのだが、雨の日は横殴りのしぶきが襲ってくることも。
雨具を忘れた人は、受付で販売されている簡易なカッパを購入しよう。
また、海の天候は変わりやすいため、市街地が晴れていても「渦の道」は雨だった、ということもよくあるらしい。
スタッフいわく「渦潮の見ごろの時間も含めて、気軽に電話で聞いてください!」とのこと。たくさん電話が掛かってきたらどうするの?と心配してみたら「全然、大丈夫! むしろ大歓迎!」と元気な笑顔が返ってきた。
季節によっても「渦の道」の風景は変わる。
鳴門の渦潮がもっとも多く見える時期は、春分の日と秋分の日。
つまり月の引力が大きくなる春と秋が、一番の見ごろと言える。
冬は空気が澄んでおり、海に浮かぶ島の風景もくっきりと見えるのだとか。
ちなみに夏は霧が出やすく、天候によっては白く霞んだ風景が目前に現れる。
「そんなレアな風景に出会えるのも醍醐味です。ちなみに午前中は漁船が多く、ローカルな風景も楽しめます」とスタッフ。
足を運ぶ度に、鳴門海峡は違った表情を見せてくれることだろう。
さて、「渦の道」を象徴する大きな魅力の一つが、海を真上から見下ろせる足元のガラス床。
3重構造になっており、一番上のガラスは毎年張り替えているそうだ。
「これまでヒビが入ったことは一度もありません」とスタッフ。高所が苦手な人も、勇気を出してガラス床の上を歩いてみよう。
スタッフの話をもとに、ちょっぴり脱線気味にお伝えした「渦の道」の情報を、最後まで読んでくれたアナタ。
渦や橋に関するもっとディープな情報を知りたい場合は、徒歩約3分の場所にある「大鳴門橋架橋記念館エディ」へレッツゴー。
デジタル技術を駆使した体験型ミュージアムとしてリニューアルした後も、大人向けの深さと雑学に満ちた情報を各コーナーに満載している。
「渦の道」とのお得なセット券を購入して、鳴門のディープな1日を堪能してほしい。